『ガニメデの優しい巨人』:読書感想

『ガニメデの優しい巨人』ジェイムズ・P・ホーガン

前作『星を継ぐもの』から半年ほど経って読み終わった。

なぜ読むまでに半年も空いたか。それは装丁がとてもかっこ悪いから。

手元に来た瞬間、読む気が無くなってしまった。

『星を継ぐもの』 の装丁は完璧だ。世界観が良く表れているし、イラストもカッコいい。

とても重要なので繰り返す。 『ガニメデの優しい巨人』の装丁はダサい。マジでださい。

内容は素晴らしく面白いので、3作目の『巨人たちの星』も間違いなくこれから読む予定。

そして読み終わった後、装丁を表に出して3冊並べて本棚に飾ろうと想像する…無理だ。カッコ悪すぎる。

最近読んだ3部作、ニール・スティーブンスン『七人のイブ』。

これは装丁が文句無しにカッコいい。読み終わった後は当然面出しで飾った。そして悦に入る。

(原著が一冊にまとまっているのに、なぜか翻訳は3冊に別れ無駄に高価だったが)

装丁を変えてくれないかと切に願う。


内容は、前作の最後で生物学者クリス・ダンチェッカーが披露した仮説が証明される。

前作同様、SFだが非常に良くできたミステリでもある。

一つ一つ、ガニメアンから明かされる事実それがまた新たな謎を呼ぶ。

しかし前作から本作まで、結局どういう事だったのか?と問われると、筋道立てて説明できるほど理解できていない。


何となく整理してみる。




ミネルヴァでガニメアンが誕生した。
ミネルヴァの動物は二酸化炭素耐性を持っているが、僅かな傷を負っても死に至るほど怪我に弱い。
ガニメアンは進化の過程で二酸化炭素耐性を捨てる代わりに、怪我への耐性を得た。そして進化し文明を築いた。
環境の変化により、ミネルヴァでの二酸化炭素濃度が上昇して行くことが判明。
このままではガニメアンは生存不可能。
他の惑星を調査した結果、地球では二酸化炭素耐性のある動物が生態系を築いていた。
この動物をミネルヴァへ連れていき、耐性を作り出している遺伝子を分離、ガニメアンへの移植を考えた。
結果は失敗に終わる。
別の策を弄するため、一部のガニメアンは既にミネルヴァを旅立っていた。
残ったガニメアンは別の恒星系を目指し旅立ったがガニメデへ墜落。
地球から連れてこられた動物、類人猿はミネルヴァ原産の動物達を捕食して生き残り、人類へと進化した。
ミネルヴァで進化した人類は、ガニメアンが施した遺伝子操作によって暴力性を増し、やがて2つの国に分かれ戦争を始めた。

戦争が拡大した結果、自らの兵器によってミネルヴァを破壊してしまう。

一部の生き残った人類は、かつてミネルヴァの衛星であった月へ逃れた(ルナリアン)。
ミネルヴァからの引力から開放された月は太陽へと近づいていく途中、地球の引力に捉えられ衛星となる。
月から地球へ移り住んだルナリアンはそこで進化を遂げ、私達人類「地球人」となる。

こんな感じだろうか。(あってる?)


つまり人類が戦争に明け暮れたのは、ガニメアン達が生き残る為、地球の生物を遺伝子操作して暴力性を与えてしまったことが原因なのだ。


ミネルヴァから先に飛び立ったガルースらガニメアンは、母性に残った同胞が地球生物に対して行った罪深い行為を知って愕然とする。

ガニメアンは「優しい」巨人であるが、その裏には大きな罪があった。


しかしホーガン作品を読んでいつも思う事がある。それは未知の知的生命体やいわゆる異星人の描き方が絶妙であること。


そして読者は間違いなくガニメアンを好きになる。少なくとも私はとても好きになってしまった。ガニメアンとルナリアン、そして人類の繋がりが解き明かされていくにつれ、期待と恐怖が膨れ上がっていき、ページをめくる手を止められない。


そして後半に明かされるその「優しさ」の裏にある罪深さに驚愕する。こんなにも壮大で大きな驚きのある展開なのに、なぜが全編に優しく穏やかな空気が流れているようだ。読みながら人類の一人として、ガニメアンの知性と優しさに触れているような感覚だった。



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